池田忠利 初期作品

こんにちは。

池田忠利さんの個展、続行中です。

今日は、池田さんの初期の作品をご紹介します。

先日からこのブログで画像を交えてご紹介している
現在の飛びぬけたおもしろさのある作品とは少し趣きの異なるもの。

でも、やはり、池田さん特有のユニークな発想がここにもあり、
この平面がどんどん立体になっていった経緯もうかがえます。

佐賀の高校をご卒業後、上京しデザインを学ばれ、
デザインの仕事をされていた池田さんの
ビジネスからかけはなれ、独自の表現を始められた貴重な作品の数々です。

なお、この図録におさめられたカラー図版は、
1992年4月から94年3月まで
経営情報誌“コンステラツィオーン”の表紙画として使用されたものだそうです。

この図録のあとがきに忠利さんのその時の想いが綴られているので、
その文章をそのままご紹介いたします。

私は古い機械や計器類の図版を見るのがとても好きで、古本屋に行った折、そのたぐいの図版が掲載された本をよく買い求めてきます。

日常生活に置いては機器類の操作はまるで苦手な私ですが、図版の機械類ならそんな私でも、ハサミ一つでいとも簡単に分解や組み立てができます。
というわけで、買ってきた古本の図版は、ドライバーならぬハサミを使って分解し、部品にと変えてしまいます。

ところで、この分解された機械図たちの大半は、今世紀初め機械文明のホープとして登場し、活躍した当時のヒーローたちなのですが、今や“使いものにならない!”の烙印を押された哀しき功労者たちなのです。
分解され部品となり、作図された当初の目的から解放されてホッとしているのか、途方に暮れているのか、はたまた屑籠への運命かと青ざめているのか・・・・・われ関せず。

それはさておき、今度はその部品たちに、“新しいカタチ”を作るために“全員集合!”の号令をかけます。
ハサミに換えて糊という道具を持って・・・。
相性の悪い部品には次の機会にネ・・・と保存ケースに入ってもらい、しっくり仲のいい部品たちだけでカタチを作っていきます。
このようにして出来上がった“新しいカタチ”たちにもう一度“全員集合!”の号令をかけて広場に集まってもらいました。
その広場の名前が“SCRAP WONDERLAND”。

無機質な機械製図が池田さんの手にかかれば
命が吹き込まれ強烈な個性の生き物になる。

池田さんは、
膨大な数の芸術作品や膨大な数の映画作品や膨大な数の人物に触れておられる。
都内には月に3~4回出かけ、興味ある作品をご自分の眼とハートで体感される。
それらの全要素が池田さんの血肉となり原動力となる。
ますます大きな創造力が発揮される。
スゴい方なんだけれど、とても愛嬌があって気さくなお人柄にも心惹かれます。

この初期作品の図録を持っていなかったので今回ゲット。
サインしていただきました。
“江”はリクエストにこたえて書いてくださいました。

今日も楽しい一日をお過ごしくださいませ。

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